みなさんこんにちは。
昨年、会長より会社にお持ちいただいた昔の「お裁縫箱」と針や糸などの「服飾・手芸用品」は、戦前のものというお話をしていただき大変驚きました。
それと同時に昔の「針仕事」いわゆる「お裁縫」について少し気になったので調べてみることにしました!
また、今回の記事から日本紐釦(チューコー)の長い歴史からどこか懐かしさを少し感じて頂ければ嬉しい限りです♪
ヨーロッパの針仕事
19世紀のヨーロッパでは工業化による糸や布の普及が影響し、糸や布地を簡単に手に入れることが出来るようになりました。
また、女の子たちは針仕事を学校でも習うようになりました。
その当時の「お裁縫」は家庭内だけでなく、仕事・職を得たいと考えている女の子にとっては必要不可欠といえるほどの重要な学びでもありました。
学校を卒業した後、働く若い女性たちにとってカイエ・クチュールやサンプラーといったものは就職時の技能の証明にもなり、大変役に立つものであったとされています。
学校で学んだ技術をノートなどの冊子に貼り付けてまとめたもののことで、日本語に訳すと「お裁縫ノート」を意味します。
中には、丁寧な解説や学校の先生からの採点、年号や地名が明記されたものもあります。
針仕事のさまざまな技法を一枚の布にまとめた布のことです。
英語で「sampler」いい、日本でも「サンプラー」と呼んでいます。
古いものであれば15世紀から制作されてとされており、現在においても様々なサンプラーが作られています。
このように19世紀の「お裁縫」というのは女の子たちの暮らしと関係が深かったようです。
日本の針仕事
実は日本でも19世紀後半から20世紀前半にかけて、女の子たちは「針仕事」をしていました。
日本では産業の分野において機械化が進みつつも、洋服やミシンが広く普及するまでは日本の家庭において「手縫い」の方が主流であったといわれています。
学校でも「お裁縫」が教育の1つとして女の子たちに学ばれていたという点においてはヨーロッパと同じでした。
またその当時のお裁縫の本からは実用的な裁縫だけを学ぶのではなく、装飾などを施すための美的感覚を得るためにも「お裁縫」は学ばれていたともいわれています。
こうして本や学校などで学んだ女の子たちの針仕事の楽しみはというと、着物の余った切れで作るはぎれもの、すなわちパッチワークによる袋ものやお細工物と呼ばれるこもの作りだったようです。
さらにその当時、西洋への憧れもあったことから西洋で流行していた図案で刺しゅうを施したり、帽子や白いフリルの付いたエプロンを作り着物の上から身に着けたりするといったこともしていたそうです。
日本紐釦(チューコー)の昔の服飾・手芸用品
創業してから100年以上も経つ日本紐釦(チューコー)、昔の裁縫道具を現在の会長がご自宅で大切に保管しておられました。
今回はその大切な用品・道具をご紹介させていただきます。
凛とした佇まいと優しくあたたかみのある「お裁縫箱」
昔の日本は女性による「お裁縫・針仕事」、特に手縫いが当たり前となっていました。
これらの大切な用具・道具をしまう大切な箱として裁縫箱は必需品だったようです。
実はこちらの「お裁縫箱」は終戦直後まで大切に使われていたそうです。
戦後から70年以上経ってもきれいな状態で保ち続けられているのは、きっと大切に保管されていたからではないでしょうか。
こちらのお裁縫箱は、木製の上から漆塗りに梅柄が描かれています。
ちなみに漆は耐久性や耐水性、防腐性に優れており、加えて水、酸、アルカリにも強くなるという特徴があります。
このような特性から生木のままでは腐ったりカビてしまったりする木材も、漆を塗ることで抗菌、殺菌作用、防虫効果がみられて丈夫で長持ちするんですね。
年季の入ったこの「お裁縫箱」を初めて見た時、どっしりとした重厚感がありながらもどこかぬくもりも感じられるような印象を持ちました。
それは漆などによる艶やかさと華やかさだけでなく、長きに渡る時代においてこの「お裁縫箱」を使用してきた人々の思いもどこかにこめられているからではないでしょうか。
当時、実際に使用していた針や糸も!!
当時の和洋裁道具などがそのまま残っていました。
クロバーの待ち針やくけ台、アップリケ、YKKのファスナー(ジッパー)に塗るロウ、糸やゴムなどなど、現在でも商品自体はありますがパッケージが異なっています。
パッケージデザインもそうですが、販売当時よりも時代が経っていて色褪せているためでしょうか、より昭和レトロさを感じます。
こちらは小さいお裁縫箱の中に大切に収納されていた針になります。
今ではなかなかお目にかかることのない針もあるそうです!
こちらは昔のカタン糸、手縫い糸です。
並べてみると同じメーカーでも少しデザインが違っているのが分かります。
どちらの方が古いデザインだったのか気になるところですね。
昔のカタン糸は木製のコマを使用し、また商品やメーカー名、番手や色番が明記されているシールのデザインや配色によりレトロでオシャレな印象を受けました。
こちらは糸切ばさみ、スナップボタン、せぶせ、袖丸み形です。
よくよく見てみると袖丸み形には鉛筆で直接文字が書かれており、実際に製図などをするときに重宝していたことが分かりますね。
一番上の箱を開けると糸を巻く板が何枚か収納されていました。
その中で、こちらには実際に木製の板に糸が巻かれていました!!
昔の方々は、最後の最後まで糸を大切にお使いになられていたのではないでしょうか。
このように見てみると、お裁縫箱の中からその当時の手縫いの文化やものを大切に扱うという精神や思いを感じることが出来ます♪
庄三郎のはさみ
こちらははさみメーカーでお馴染みの「庄三郎」の創業者「三浦 庄三郎」様が直々にお作りになられた「裁ちばさみ」になります。
「庄三郎」さんが創業60周年の記念の際にお作りになられた内の1丁を日本紐釦(チューコー)へお届けくださったそうです。
木製の箱の文字は「庄三郎」さんの直筆でしょうか?
実際に持ってみましたがこちらの「裁ちばさみ」大きく、大変重たいんですよ。
サイズはなんと全長320mmもあるんです!
一般的にご使用になられる「裁ちばさみ」のサイズは240mmや220mm、260mmかと思いますが、そのサイズよりももっと大きいサイズ。
なかなかこのような大きなサイズのはさみを持つ機会が無いので、先輩もとっても緊張して手が震えておられました。
ペットボトルと並べてみても、かなり大きなサイズであることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
刃の部分だけでもかなり大きいサイズであることが分かりますよね!
どんな生地でもすいすいと裁断できそうなほどの迫力を感じます。
そしてよく目を凝らして見てみるとお馴染みの「庄三郎」の文字が刻印されています!
こちらはほかのサイズのはさみでも見られますよね。
またくるっと反対側を見てみますと、「創業60周年 記念自作」の文字が見られました!
裁ちばさみを保管していた木箱に明記されている文字と一緒ですね!
ちなみに本館4Fと別館Chukoで生地をカットする時に使用している「裁ちばさみ」の中には、庄三郎さんのメーカーのものもございます!
スタッフが毎日生地をカットするので、切れ味が悪くなるとはさみ研ぎをお願いしているんですよ。
お手入れも大切にすることで、長く大切にお裁縫道具を愛用することが出来ますね♪
姿・形を変えながらも残るお裁縫・ハンドメイドの文化
日本はもちろんヨーロッパなどの海外の19世紀では針仕事というお裁縫が盛んに行われており、その文化というのは少しずつ姿・形を変えながらも根強く現代に渡って残り続けているという事が分かりました。
実用的なお裁縫に限らず、衣服やインテリアなどのアイテムの装飾を目的とするお裁縫が当時からあり、これらの針仕事の時間が楽しみの1つであったということは、これらのニーズに応えようと多くの和洋裁用品が誕生したのかもしれません。
そして現在、趣味として好まれている手芸やハンドメイドとして少しずつ名称が変わりながらも残っています。
手芸・ハンドメイドのジャンルが増え、お裁縫や手縫いで使う糸や針など以外に様々な道具や用品が誕生しています。
またこれらのアイテムは見た目などのデザイン性はもちろん、使い心地が良かったり、機能性に優れていたりと便利でまた使いたくなるようなものである必要性も重要になってきています。
これから先の変化しつつあるお裁縫、手芸、ハンドメイドの文化も大切に
日本紐釦(チューコー)では、お客様のニーズを大切に商品の開発や仕入れを長きに渡って行っております。
これからも手芸やハンドメイド好きのみなさまにとって欲しい、使いたいと思っていただけるような商品をご提供できるように邁進してまいります!
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