みなさんこんにちは。本館5F売場のスタッフYです。
和手芸のつまみ細工を皆さんはご存知でしょうか?
目次
つまみ細工は昔から続く日本の「和手芸」
つまみ細工とは200年以上も昔から続く日本の「和手芸」の1つです。
小さくカットされたちりめんや羽二重の生地を折り畳み、それらを重ね合わせて作り上げます。
生地を『折って、つまんで、貼り付ける』という工程をベースに、つまみ方に変化をつけることでさらに多彩な表現が出来ます。
実は色の組み合わせでも表現方法のバリエ―ションの幅が広がる!?
つまみ細工の技法以外に、生地の色で一味変わった印象を与えることが出来ます。
色の組み合わせや配色が作品の印象を大きく左右するため、慎重に決められる方も多いように思います。
そこで今回、つまみ細工の教室【花びら】にて講師を務めておられます「後藤みな先生」に、つまみ細工の色合わせについてのインタビューをいたしました!
先生よりつまみ細工の「色合わせ」についてポイントや考え方、またおすすめの配色についてアドバイスをいただきましたので、今回のコラムでお伝えさせていただきます♪
【花びら】後藤先生が考える-つまみ細工色合わせのキホン-
【花びら】後藤先生のつまみ細工を作る時に意識していること
つまみ細工は、丸つまみや剣つまみの単純な形を変形したり組み合わせることによって、様々なものを表現する手工芸です。
私自身、生花を目指して本物のように作ることもありますが、それでは造花と変わらず面白くないので、本物の特徴を捉えながらも、つまみ細工の良さ、表現の特徴を失わないようにと心がけて製作しています。
生地はレーヨンちりめんを使うこともあれば、羽二重を使用することもあり、コットンやキュプラなども使用します。
それぞれ性質や仕上がりが異なりますので、それらを生かすようなデザイン、作りやすいレシピを考えるようにしています。
例えば、作りやすさで言うと、コットンやキュプラはボンドで容易に接着できますが、羽二重四匁は専用糊を使用したほうが形が整えやすかったりします。
デザインでは、ふんわりした可愛さを表現したいときにはちりめんやガーゼを、透明感のある繊細な作品を作りたいときには羽二重四匁を使用するなど工夫しています。
古い書籍や資料を読んだり、新しい材料は試しに買って作品に取り入れてみたり、さらに身の回りの花を解体して構造を調べて作品作りに取り組んでいます。
こうして研究や試行錯誤を進め「現時点ではこれが一番!」と思えるレシピ、作品を作るように日々努力しています。
先生が色の組み合わせを考える上で、特に気を付けていることはありますか?
【花びら】後藤先生のつまみ細工を作る時に意識していること
「単調」を避けて、「安っぽくならないこと」を意識しよう!
実は、赤やピンクなどの可愛い色の組み合わせは単調になりやすく、単調な組み合わせは安っぽく見えがちです。
そのため、原色そのままの色ばかりだと単調になりやすいので、濃い色の場合は必ず少しだけ、青みか黄みのどちらかに寄せた色を選ぶように心がけています。
ちなみに日本紐釦オリジナル羽二重四匁は、どの組み合わせで使って頂いても美しく決まる色をたくさんの色見本の中から厳選して決定しているんですよ。
- 「しろ」何にも使える万能なお色
- 「さくら」ふんわり薄くてどんなお花にも使えるお色
- 「もも」と「うめ」さくらと合わせても使いやすくほんの少しサーモン寄りのお色
- 「ふじ」薄すぎず何に合わせても映えるお色
- 「すみれ」深みのある上品なお色
- 「あかね」真っ赤な原色でもなく、ワインレッドほど暗すぎない、派手過ぎず上品なお色
- 「れもん」明るく若々しい印象にしたいときに欠かせないお色
- 「わかば」少し青みのどんな花にも合わせやすく上品に仕上がるお色
- 「みずいろ」ポップにも上品にも合わせやすいお色
「自分の好み」を知ることが大切
私は天性のセンスと言うものに恵まれておらず(笑)、ゼロからデザインするということはできないので、自分で組み合わせるとなんだか野暮ったくなってしまうということがよくありました。
身近にあるものや目に留まったものからも色のアイデアを吸収!
例えば、【オレンジ×紫】【ピンク×緑】のような強い色の組み合わせでも、ばっちり決まっているように見える時と、なんだか下品に見える時がありますよね。
そういう時は、「どうしてそう感じたのか」「どこを変えるとセンス良く見えるのか」などを細かく分析を行い、それを私自身のセオリーとして使用するようになりました。
また普段から、芸能人の方のドレスの色、ポスター、フラワーアレンジメントなどの色の組み合わせの中で、「あ、これ好き!」と思った色は写真撮影をして、その色の組み合わせをサンプルとして集めるようにしています。
そんな努力を続けていたら、「花びらの色の組み合わせが好きです!」と言って下さる方が増えて、色の組み合わせ方の講座も開くようになりました。
もちろん好みがあるので、「自分の好み」を知ることが成功への一歩なのかなと思っています。
私の色合わせのポイント
ちなみに私がよく使う色合わせのポイントは2つあります。
- お花には挿し色を入れる。
- 葉っぱの色は黄みに寄せるか、青みに寄せる。
「この色好き」からアレンジしてみよう!
まずは、「この色の組み合わせ可愛い!」と思う色合わせがあったら、それを使って色々なお花を作ってみるといいと思います。
もちろん、「Instagramで見た作家さんのデザインも色遣いも全部丸々真似して作って売っちゃいました!」というのは、良くないことなのでご遠慮願いたいのですが…。
先程からお伝えしております、普段から色々なところで好きな色の組み合わせを集めて、それを自分なりに表現してみる、ということを繰り返してみることにたくさんチャレンジしてみましょう!
例えば、「【青×ピンク】組み合わせ可愛い!」と思ったとしますよね。
青とピンクの別々のお花を組み合わせるのと、1輪に青とピンクも入った花びらが入っているのでは印象が変わりますせんか?
もちろん同系色のグラデーションも良さそうですよね?
そんな風に自分で組み合わせてみた結果、「どっちが好きかな」って自分の好みを確認したり、大切な人に好みを聞いてみたりしてはいかがでしょうか。
今回、色見本として色々な玉バラを合わせてみましたので、もしよかったら、皆さんも作ってみて下さいね。
今日からできるつまみ細工の色合わせ
コントラストを意識して美しさを
つまみ細工の美しさは、色のコントラストによって強調されることが多いです。例えば、同系色の濃淡を組み合わせることで、立体感や深みが出ます。また、補色を使うと華やかさが増します。
コントラストをつけることで、全体が引き締まり、個々の花びらやパーツがより際立ちます。
赤い花に緑の葉をポイントに組み合わせることで、お互いの色が引き立ち、鮮やかに見えます。
色相環(色を円状に並べた図)において、互いに正反対に位置する色の組み合わせのことです。
例えば、赤と緑、青とオレンジ、黄色と紫、ピンクと黄緑といった組み合わせになります。
グラデーションは奥行きや柔らかさの表現に◎
同系色のグラデーションを使うと、つまみ細工に奥行きや柔らかさが生まれます。濃い色から薄い色へ徐々に変化させることで、作品に自然な動きと立体感が加わりますよ。
伝統的な色を取り入れよう!
日本の伝統的な手芸であるため、和の色彩を取り入れている場合が多くあります。
伝統的な和の色はいくつかございますが、ここでは一部をピックアップしてご紹介いたします。
- 紅色(べにいろ): 華やかで女性らしさを象徴する色。
- 紫色(むらさきいろ): 高貴で上品な色合い。
- 若草色(わかくさいろ): 春を連想させる柔らかい緑色。
季節に合ったカラーを取り入れよう!
つまみ細工は季節のお花をモチーフにすることが多いです。
そのため、配色する際も季節感に合ったものを選ぶと自然と馴染みのあるビジュアルとなります。
- 春: 桜や梅をモチーフにした淡いピンクや明るい黄色。
- 夏: 朝顔やひまわりを意識した爽やかな青系や白。
- 秋: 菊や紅葉をテーマにした深い赤やオレンジ系、茶系。
- 冬: 梅や雪をイメージした白やグレー系、時にはアクセントに金色や銀色を加えた配色。
テーマや用途に合わせてみよう!
作ったつまみ細工はどんな時に、どんな場所で使う予定なのかを想像して、配色を決めるのもおすすめです。
例えば、成人式や結婚式などの晴れの日に使用する場合であれば、華やかさやフォーマルな場に合った色合いを意識して選択しても良さそうですね!
どんなシチュエーションでつまみ細工を使用するのかということも考えながら配色を決めて頂くと、より楽しみながら色をお選びいただけると思います♪
後藤先生がおすすめするつまみ細工の配色はこれ!
つまみ細工の配色については、グラデーションの配色は可愛さ、単色の配色はよりシックなイメージにしたい時に選ぶことを意識して頂ければと思います。
今回は羽二重四匁の作品で作った作品と共に、配色をご紹介いたします。
羽二重の生地は、日本を代表する高級絹織物で、平織という技法で、経糸と緯糸に撚りをかけず織り上げる織物になります。透明感と艶のある質感、驚くほどの軽さと薄さを特徴として備えています。
より詳しく知りたい方はこちらのコラムをぜひご覧くださいませ▽
【単色】
寒色系
みずいろ、すみれ、ふじの組み合わせは涼しげでさわやかな印象を与えます。
紅白
あかね、しろの組み合わせは可愛く、またおめでたい席にもピッタリのカラーです。
【グラデーション】
寒色系
みずいろ、すみれ、ふじをグラデーションで使用すると、繊細で可愛い仕上がりとなります。
ふんわり
しろ、さくら、もも、うめのグラデーションに、わかばを挿し色に加えました。
甘すぎない可愛さの印象に仕上がります。
明るく
さくら、もも、うめのグラデーションにれもんを加えました。
「ぱっ」とするれもんによって、明るく元気なイメージに仕上がります。
【ポップ×可愛い】
トリコロール
あかね、しろ、みずいろをメインカラーに、れもん、ふじを挿し色に使用した配色です。
黄色
れもんだけでは単調となってしまうため、みずいろ、わかば、しろの3色を挿し色として使用した配色です。
よりメリハリがついて、れもんがより明るく引き立っています。
ピンク
しろ、さくら、もも、うめのグラデーションは王道カラーで、女性に人気のカラーです。
【シック×キレイ】
紅葉
あかねだけでなく、ふじ、すみれの配色を加え、より豪華な配色にしました。
さらにそこにれうまくカラーと馴染むようにれもん、わかばを加えました。
紫
しろ、ふじ、すみれのグラデーションも人気の王道カラーです。
可愛さよりは上品さのイメージがピッタリです。
おとないろ
ふじ、すみれ、あかねの組み合わせカラーは、落ち着いたシックなイメージと豪華さを感じることが出来ます。
秋色のようにこっくりと深みのある配色です。
ワンポイントに
涼し気に
みずいろ、しろに紫のグラデーションを加えることで、明るすぎないシックな印象になります。
ピンク&紫
ピンクと紫のかけ合わせは甘すぎないので、大人の方も使いやすい配色になります。
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今回後藤先生にインタビューをさせて頂き、実際の作品や身の回りにある配色から「自分の好き!」をたくさん見つけ、自分なりの作品作りに生かすということが大切であることを学べました!
そして時には「なんか良いな。」と思った色が、ほかの人からも共感を得られることも大切なのかもしれません。
ぜひ、身近な方の意見も取り入れつつ、「自分の色見本帳」を作る気持ちで作品も作っていただければ嬉しいです♪
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