みなさん、こんにちは!本館2F、服飾資材売場のNです。
前回、接着芯の種類についてご紹介しましたが、今回は、接着芯の失敗しない貼り方についてご紹介します!
また、接着芯をきれいに貼る時のポイントやあると便利なアイテムなどもお伝えします♪
接着芯の基本の貼り方からちょっとした豆知識までご紹介しますので、初心者さんはもちろん手芸・ソーイングの愛好家さんにもご覧いただきたいコラムとなっております!
目次
接着芯とは
芯地は服のシルエットを形作るために、表地だけでは不足している性能や機能を補う大切な役割があります。
芯地に要求される機能
- 成形機能…着やすく、美しいシルエット作りを内側から支えます。
- 保形機能…着用した時やクリーニングなどによる形くずれを防ぎます。
- 寸法安定機能…寸法を安定させて変形を防ぎ、パターン(型紙)どおりに形作ることの出来るようにしています。
- 補強機能…伸びやほつれ、変形などを防ぐため、必要な箇所を補強します。
- 可縫製機能…伸びる、垂れる、動くなど、取扱いの難しい布地に芯地を使用させることで、安定させて縫いやすくします。
接着芯の接着剤のつき方
接着芯の接着剤は、基本的に3パターンとされています。
ドット状
- ドライクリーニングや洗濯に強い
- 高い接着力が得られる
- 接着剤がたくさんついているため、適切な時間と圧力でアイロンをしっかりかけることが必要
パウダー状
- クリーニングや洗濯にやや弱い
- ややしっかりした風合いに仕上がる
- ドット状より接着剤が少なく、ステッチなどで縫い止める必要がある
- アイロンで簡単に接着できる
クモの巣状
- ドライクリーニングや洗濯にやや強い
- アイロンで簡単に接着できる
- パウダータイプより柔らかく仕上がる
接着芯の種類
各種類と特徴
織物 | 不織布 | 綿状 |
---|---|---|
作り上げた形状を保つ性質がある | 軽い | 軽い |
表地となじみがいい | 表地のゆがみや変形を抑えることができる | ふっくらと仕上がる |
しわになりにくい | 方向性がないので裁断や縫製がとてもしやすい | 保温性がある |
表地の伸びを止める | 洗濯しても収縮しない | キルティングにも向いている |
接着芯を貼る前に!押さえておきたい3つのポイント!!
接着芯を貼る前に、綺麗に貼るための押さえておきたいポイントを3つご紹介します!
ポイント①アイロンの温度を要チェック!
接着芯の種類や付ける素材によって、推奨しているアイロンの温度は異なります。
また、アイロンの当てすぎもあまりよくないとされているんですよ。
接着芯を付ける時は、アイロンの温度や時間をしっかりと守りましょう♪
温度 | 素材 |
---|---|
高温 180~210℃ | 麻、綿、レーヨン |
中温 140~160℃ | 毛、絹、ポリエステル、キュプラ、アセテート |
低温 80~120℃ | アクリル、ポリウレタン、ビニリデン |
温度が高いと接着剤が溶けすぎて接着力が低下し、樹脂が表布や芯地に染み出してしまうことがあります。
温度が低いと接着剤が溶けず、接着芯が貼りつきません。そのため、適切な温度でアイロンをあてることが大切です。
スチームで白い蒸気が見えてしまっている場合、実は上記の温度は100℃以下となっています。
接着剤を貼る時の適切な温度でない場合、接着樹脂が溶け切らず接着芯をきれいに貼り付けることが出来ません。
一般家庭用のアイロンは高温でないとスチームが出ないようになっていますが、アパレル用のアイロンでは、中温でもスチームを出せる設定が出来るためスチームを使うことを推奨していることもあります。
ポイント②しっかりと圧力をかける
体重をかけてしっかりと上から押さえつけます。
圧力が強く、長時間だと表布の風合いがなくなり、芯地の貼ってある部分の段差が見えます。
接着芯や表布を傷めてしまうことがあります。
圧力が弱く、短時間だと接着ができません。
ポイント③時間を守って、しっかりと接着芯の上から押さえる
1カ所につき10秒程度、アイロンを上から押えます。
なぜ1か所につき10秒ずつなのか CHECK!☞
圧力が強く、長時間押さえると表布の風合いが損なわれる場合があります。
表から芯地が貼っている部分の段差が見えてしまったり、接着芯や表布を傷めてしまったりすることがあります。
反対に、圧力が弱く、短時間しか押さえられていない場合は接着ができず、剝がれる原因となります。
そのため1か所につき10秒ずつ体重をかけて押さえる必要があります。
ポイント④接着芯の表と裏の見分けよう
接着芯には表と裏があるのをご存知でしたか?見分け方をご紹介!
接着芯ののりが付いている面というのは、触ってざらざらしていたり、ノリのつやが見られることがあったりします。
接着面は接着剤が付いている為、キラキラとしています。こちらが接着芯の裏面となります!
反対に何も付いていない面はサラサラ、すべすべとしています。こちらは接着芯の表面となります。
こういった表面の特徴を観察して頂ければと思います。
これであなたも失敗しない!接着芯の使い方・貼り方【基本編】
①接着芯を裁断する
芯地を表布と合わせると、サイズが合わずはみ出てしまうことはありませんか?
接着芯を表布へ先に貼り合わせてから裁っても、それぞれ裁断し終えてから貼り合わせてもどちらでも構いません。
素材によっては熱を加えることで、寸法に変化が起きてしまうので、芯地を貼るパーツは全て縫い代を多めにつけておき、その粗裁ちした表布を使って芯地を裁ちます。
芯地が表布からはみ出さないように、裁ち端より少し内側をカットし、接着します。
※芯地が表布をはみ出すと、アイロンマットについてしまうので注意してください。
布目に気を付けて再度パターンをのせ、縫い代を正確につけて裁ちなおします。
②布と芯地をアイロン台の上に置く
表布の布目を整えてアイロン台の上に置き、その上に芯地の接着面を下にした状態で置きます。
その後、素材によって全体に霧を吹きつけます。
霧吹きをする理由は、水分を与えると熱が伝わりやすく、接着しやすくなるといわれているからです。
アイロンのスチーム機能を使用すると、接着芯に合った適正な温度設定が出来ないため霧吹きを使用するのがおすすめです!
③アイロンがけをする
持ち上げて移動させてくださいね♪
アイロンはドライにし、温度を素材に合わせて設定します。
アイロンの底面にしみ出した接着剤が付着しないよう、当て紙(ハトロン紙)をし、上から体重をかけて10秒ほど押えます。
アイロンは滑らさず、持ち上げて、すき間があかないように半分ほど重ねて移動をさせます。
接着もれの箇所がないよう、決して焦ることなくまんべんなく押さえていきましょう。
④熱が冷めるのを待つ
接着し終えたら、熱が冷めるまで平らな状態にして置いておく。
熱が冷めるまでおいておく理由
接着芯は、樹脂が熱によって溶けてその樹脂が冷えて 固まることで接着されるため。
冷める前に畳んだりすると接着むらが起きてしまったり、畳み皺が付いてしまったりするので、気を付けましょう。
接着芯を貼る前と後のトラブルに
布の表面にアイロンの跡が残ったらどうしたらいいですか?
アイロンの跡が残ったら… 当て布をして
スチームアイロンをかけよう!
アイロンでしっかり押さえて接着を行うため、素材によって布の表面にアイロンの跡が残ってしまう場合があります。
表面より当て布をし、スチームアイロンを浮かせるようにかけて跡を消します。
そして、熱が冷めるまでは平らな状態にしておきます。
「試しばり」は必要ですか?
実物に貼る前に試しばりをして、接着力や風合いなどをチェックしましょう。
【接着後】
- 表面から見る -芯地のあたりや目つぶれ、接着剤が染み出していないかを確かめます。
- 表布と芯地が馴染んでいるか触ってみる -厚ぼったくなっていないか風合いを確かめ、もう少しソフトにしたい、ハードにしたい場合は芯地を替える。
- バイアスの方向に引っ張る -布の表面に接着剤の形が浮いてこないか確かめる。
- 接着力を確かめる -芯地の端をはがしてみた時に、簡単にはがれる時は接着力が不足しています。完全接着芯の場合は、力を入れてやっとはがれるくらいの接着力があります。
基本的にやり直しはきかないので、注意が必要です。
素材にもよりますが、一度しっかり接着した芯地を無理にはがすと、表布が伸びたりゆがんだりしてしまいます。
また、樹脂が生地に白く残るということもあります。
失敗の一番多い原因は、表布の裏表を間違えて接着することです。裏表をしっかりと確かめてから、間違いのないように接着してください。
洗濯後、はがれた部分にもう一度しっかりとアイロンをかけてみましょう。
接着力不足が原因の可能性があります。
水洗いの場合は、もう一度しっかりアイロンをかけてみれば、再び接着し、直ることが多いです。
ドライクリーニングの場合は、はがれている部分の芯地の樹脂がドライクリーニングの液で落ちてしまうので、再度アイロンをかけても接着してくれません。
そのため、最初にしっかりと接着をしておくことが大切です。
芯地の剥離
【トラブル】
芯地が表布から部分的にはがれ、表布の表面が水泡状になってしまう。
【原因】
接着力の不足により、部分的に接着力の弱いところがはがれてしまうから
【対策】
接着条件を強くする
押さえる時間を長くする
圧力を強くする
温度を高くする
接着樹脂のしみ出し
【トラブル】
接着剤が表布の表面にしみ出したり、接着剤の形状が浮き出てきたりする。
【原因】
薄手素材に多くみられるトラブルで、素材に対して芯地の接着剤の量が多いから
ドット状の接着剤の場合、1粒のドットが大きすぎるから
アイロンの温度が高すぎるから
圧力が強すぎるから
【対策】
接着剤の量の少ない芯地に替える
接着剤のドットの粒の小さい芯地に替える
アイロンの温度を下げて、押える圧力を少し弱くする
目つぶれ
【トラブル】
表布の毛足がねてしまい、厚みが減少し、見た目を損ないます。
毛先のある素材に多くみられる
【原因】
接着条件が強すぎるから
【対策】
接着力の得られる範囲で温度、圧力、時間の接着条件を弱めにする。
スチームアイロンで回復する場合もある
収縮による寸法変化
【トラブル】
表布の寸法が小さくなる
【原因】
接着する際のアイロンの熱や水分によって、表布が収縮し、寸法が変わってしまうから
【対策】
縫い代を多めにつけて粗裁ちし、接着跡正確に印つけをして截ち直す。
特に、収縮の大きい素材は地直しをしておく。
接着芯を貼る時に使いたい便利用品
SMZ-1PS アイロンペーパーシート
- サイズ:約48×110cm
- 素材:紙98%シリコン2%
接着芯を直接アイロンがけすると、接着部分がアイロンに付着する場合がありますが、このアイロンペーパーシートを使用すると接着剤の付着を守ることが出来ます!
きり吹き
横向・上向・下向の角度でもスプレーすることが出来ます。
接着芯の貼り付けの際に、素材によっては水に濡らすとはがれにくくなりますので、アイロンをかける際、きり吹きを使用してみてはいかがでしょうか?
SW5009 ハイーハクリ 接着芯地の剥離スプレー
誤って接着した芯地を剥がしたい時に、ぜひ一緒に使用して頂きたいアイテムです。
のり汚れをきれいに落とすソフトなアルコール溶剤を基材としています。
スプレー式の剥離クリーナー剤です。
アイロンクリーナー
アイロンにこびりついた洗濯のりや接着樹脂、化繊の汚れを落とします。
汚れを落としキレイにすることで、アイロンの滑りもスムーズにしてくれます。
接着芯貼りなど手芸の色々な作業で、アイロンのかけ面に蓄積した汚れを落とします。
溶かす必要のない液体タイプとスティックタイプの2種類ございます。
アイロンの友
シリコーン主剤(MF配合)の布です。
- 熱いアイロンで軽くこする →滑りが軽くなり糊の焦げつきを防ぎます
- 針を刺す →針がさびることなく、運びも軽くなります
- ミシンで空縫い →糸切れ・目飛び・布地のずれを防ぎます
接着芯の綺麗な貼り方をマスターしてソーイングを楽しもう♪
素材によって接着芯を付ける時のアイロンの温度違いや接着芯の硬さなどあり、作る前から「どれがいいの?」などの悩みが解消できたら嬉しいです♪
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